2016年11月19日 接客未経験者にも分かり易い、マナー・ホスピタリティの考え方
- はじめに
人は学校を卒業すれば求人を経て会社に採用され、業務が接客業なら店に配置されて顧客と関わりを持つことになります。
その事業が提供する商品やサービスの取り扱いを通じて人は必ず人と関係を結ばねばなりません。
学生の時なら個人の好き嫌いで相手を選ぶことができましたが、社会は異なる年齢や性別、様々な職業や考え方の人々で構成されているので自分の都合で相手を選ぶことはできません。
自分と異なる背景や考え方を持つ他人と円滑な人間関係を結んでいくためにはそこに誰でも受け入れ可能な一定の共通な身のこなしが必要です。それが接客マナーでありホスピタリティ(おもてなしの心)だと思います。
社会人なら誰もが身に着けておきたいその基本的な動作やホスピタリティについて考えてみましょう。
- マナーやホスピタリティの事を考える前に
マナーやホスピタリティの前に社会人として最低限押さえておかなければならないものがあります。
プロフェッショナルとしてしっかり商品知識を身に着けることです。いくら表面的な接客技術を身に着けたとしても自分の取り扱う商品に対する知識が欠けていれば、お客様を前にして対応がしどろもどろになり、一瞬にしてお客様から信頼を失ってしまいます。
お客様からのどのような質問にも耐えられるだけのプロとしての商品知識を身に着ける、これが接客の基本だと思います。
- 基本があってこそお客様対応に必要なおもてなしの心
商品知識を身に着けたら、次に必要なことは接客マナー技術の習得です。
まずお客様に不快感を与えないように毎日身だしなみを整えることは最低限のマナーです。
さらに「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」など、接客で必要な基本の挨拶があります。来店したお客様に対して最初のお出迎えや最後のお見送り時にコミュニケーションを取る言葉ですので、良い印象を与えることが出来る挨拶を身に着ける必要があります。しかし、一度身に付ければ業種や職種の壁を越えて応用の利くスキルだけにぜひ身に着けておきたい技能です。
またいつも心に余裕をもってお客様との会話に笑顔で接するのも大切な接客マナーの基本です。
しかしこれらが全て完璧にできたとしてもまだ満足してはいけません。
プロは接客マナーの上にさらに身に着けておかねばならないものがあります。それがホスピタリティです。
そこでホスピタリティを真に理解するために自分がお客様の立場になったつもりで次の実際にあったエピソードを読んでみて下さい。
- ホスピタリティに関する感動エピソード
お客様F夫妻は近くの電気店で通信費が安くなると言われて他社の携帯電話をauに乗り換えたのに実感として安くならなかったのでauショップに不満を述べにいらっしゃいました。
そこで対応した担当者Iさんはお客様の使用状況をよく聞いた上で、さらに通信費が安くなるプランを提案し納得いただいたのでそのプランに契約を変更して問題を解決しました。
しかし担当のIさんはそれだけにとどまらず、さらにF夫妻に日頃の電話以外の利用法をさらりと質問しました。
するとご主人は営業の仕事で外回りが多いがスマホの地図機能を十分使いこなせないので毎回パソコンから地図を印刷して持参している手間や、奥様の持っているスマホを子供がゲームで独占するので不便を感じている悩みを聞き出すことが出来ました。
そこでIさんは提案としてタブレットで簡単にストリートビューを利用して目的地を探し出す方法や、タブレットを使って子どもがゲームをすればその間はスマホを奥様が利用できる解決策を提案しました。さらにタブレット使用の場合の通信費もそれほど高くないことを証明して二人の悩みを解決することに成功し、IさんはF夫妻からその親身な対応に深く感謝されたのです。
このお話からあなたは何を感じますか?
なぜF夫妻は思わず感動されたのでしょうか?
通常業務なら受付係は最初の問題点を解決して終わりです。でも担当のIさんはさらに深く踏み込んで二人の悩みを聞いて解決策を見つけ感謝されたのです。この姿勢こそがホスピタリティです。顧客が期待している以上の対応をする。それがおもてなしの基本だと思います。
- 実際に体験したおもてなしを自身の接客に活かすには?
上の事例からもあなたはおもてなしを受けたお客様の喜びを分かったかと思います。
そして今度、おもてなしの心を実践するのは社会の一員に加わるあなたの番です。
でも難しく考える必要はありません。
自分がお客様の立場にいた時、スタッフからしてもらって嬉しかったことを今度はあなたが同じようにお客様にすればいいのです。同時に自分が顧客の立場の時に不快に感じたことをお客様にしないよう心がければいいのです。まさにそれがホスピタリティの基本だと考えています。
- お客様満足とは何か。接客マナー・ホスピタリティを身に着けて接客しましょう。
そのためにはいつもお客様の立場に立ってどうしたら喜んで満足してもらえるか、それを考え続ける姿勢が必要です。
お客様は何らかの問題を抱えてお店にいらっしゃいます。
プロとして豊富な商品知識をもって即座に問題を解決してあげることは当然のことですが、おもてなしの心を持って接していればさらにお客様の別の課題も見えてくることが多くなります。
本人さえ気が付いていないその問題を引き出して解決方法を示すだけでもお客様はあなたに深い信頼を覚えるようになります。
きっとその後は何度となくあなたの店を訪れて色々な相談をしてくれるようになるでしょう。
あなたにはホスピタリティの重要性を感じながら、ぜひご自分の仕事に胸を張って取り組んでいただきたい、そう心から願っています。